上海戯劇学院京劇公演が開催されました

 日中平和友好条約締結40周年を記念し、大阪産業大学孔子学院主催(桜美林大学孔子学院・立命館孔子学院・立命館アジア太平洋大学孔子学院共催)による「上海戯劇学院京劇公演」が、平成30年10月29日(月)に大阪産業大学多目的ホールにて、200名の観客が集まり、午後6時から開催されました。
 初めに、主催者側を代表し、中村康範大阪産業大学学長(大阪産業大学孔子学院理事長)より、開会の挨拶が行われ、本学で京劇公演を行うことの喜びと歓迎の意を述べられました。
 司会(日本語翻訳含)は、倉橋幸彦国際学部教授(初代孔子学院学院長)が担当され、以下の内容で公演が行われました。

【京劇とは】

中国の国劇で、東洋演劇の代表的な伝統舞台芸術の一つであり、世界無形文化遺産に登録されています。京劇は、文学、音楽、歌唱、舞踊、ドラマ、美術、立回り、雑技など多様な芸術形式と内容を含む総合芸術であり、中国の伝統的な道徳観念および倫理感が表象され、中国文化が凝縮されている芸術です。それは型、様式美を追及する東洋伝統演劇の特徴を表し、見得や隈取、トンボを切るなど、特に日本の歌舞伎とも類似性を持っております。また、象徴的な表現に関しては日本の能や狂言とも共通しています。

【上海戯劇学院とは】

今回、京劇を演じる上海戯劇学院は、上海にある演劇を主な分野とする国立大学で、京劇の分野では中国でも代表的な名門大学です。今回は23名の教員・学生が来日し、今回の公演に向けて教員の熱心な指導のもと、日夜準備を重ねた成果を披露されました。

【演目】

1.《迎春》

張 延培氏の作曲で、曲は胡弓の一種・京胡を主としています。曲調は歓楽・明快なリズムで、春の訪れに伴い鳥達のさえずりが鳴り響き、これから移り変わる美しい景色の様子を表現されました。

2.《三岔口》

『三国志演義』と並ぶ名作、『楊家将演義』の一節。時は 宋代、場所はタイトルにもある三叉路のとある宿屋。楊家の将軍を守るために、誤解が元で発生した仲間同士の死闘が始まります。灯り一つない暗闇の中、という設定での激しい立回りが見どころでした。

3.《天女散花》

「天の女神が花の雨を降らせる」 という物語です。仏教経典の1つ『維摩経』(ゆいまきょう)に基づいた歌と踊りの劇。華美で優雅な天女の歌と舞いに酔いしれました。

4.《報灯名》

伝統京劇《打龍袍》の一幕。これは元宵節に北宋の有名な大臣包拯(ほう じょう)と皇帝である仁宗(じんそう)が中華ランタンを見に行く話。いろんな種類の中華ランタンの名前を挙げていくことで、中華ランタンの存在を表現されました。

5.《戦馬超》

京劇に多い『三国志』を題材にした作品の一つ。馬超という武将は、劉備の最強部隊と戦うのですが、劉備は相手の戦いぶりに敵ながらあっぱれと感心します。馬超に自分の家来にならないかと劉備は声を掛け、引き入れます。手に汗握る激しい立ち回りでした。

6.《拾玉鐲》

明代の物語で、散歩に訪れた青年と出会い、恋に落ちた少女の心の動き、刺繍や鶏の世話などの細かな表現に、京劇の特徴が存分に表れている演目で、世界的によく紹介されている作品。パントマイムを中心とした心置きなく笑える人情劇として構成されています。

7.《覇王別姫》

紀元前の史実に基づいた物語。秦の始皇帝の没後、項羽は秦を滅亡させ世は乱世の様相を呈しました。そのような中で力をつけてきた劉邦は立ち上がり、項羽を垓下の地へ囲い込みます。四面楚歌となった項羽を虞姫は酒と踊りで落ち着かせます。そして決死の覚悟を決めた項羽を待っていたものとは・・・・・。
芸術文化学群教授袁英明先生が特別出演され、見事な立ち回りを披露されました。

上海戯劇学院 李 佩泓(り はいおう)戯曲学院長より挨拶があり、大阪産業大学での京劇公演の成功に感謝の意を述べられました。
そして、京劇の演目である《春閨夢》 ~紀元2世紀後漢末期の内戦状態で、国民の平和への渇望を表している物語~を美しい歌唱で表現されました。

歌唱後、俳優・楽師の皆さんが登壇され、花束贈呈が行われました。

最後に、呉勁松中国大使館教育室領事より、今後も京劇や様々な中国の伝統文化を通して、日本の皆さまと交流を深めていきたい旨の閉会の挨拶があり、華やかに京劇公演が終了しました。

上海戯劇学院による京劇公演は、先の神奈川県社のホールはしもと(桜美林大学孔子学院主催)を皮切りに、大阪産業大学での公演後、京都(立命館孔子学院)、大分(立命館アジア太平洋大学孔子学院)と日本を巡演されます。