大阪産業大学孔子学院記念講演会シリーズ(3)報告

水・土・木からみる中国の環境問題

〜水不足が深刻化する黄土高原に木を植えつづけて16年間〜

■開催日時:2008年1月12日(土) 14:00〜15:30
■会場:大阪産業大学梅田サテライトキャンパス(大阪駅前第3ビル 19階)
■会費 : 無料
■講師:高見邦雄氏 NPO法人 緑の地球ネットワーク事務局長

img  高見講師の講演は、緑の地球ネットワークが山西省大同市の農村で緑化協力をはじめた1992年から、16年間の変遷を蓄積した活動実績と公的データを用いて、黄土高原の環境悪化の状況と現状と地元と共同で植えた苗木は、1700万本、面積5000ヘクタールを超えたとのこと。そのことが、住民が行う森林の無断盗伐を減少させ、付近の自然林の復活に繋がった経過なども報告された。

  一方、地球温暖化の影響が黄土高原にも容赦なく襲い掛かっていることについては、大同市付近の河川が干しあがり、北京市の水道水を確保するために建設されたダムの水位が下がり続けている実例を写真も用いて示された。

img これらの報告から、黄土高原で木を植えることから見えてきた環境問題の大きさと深刻さが、大同市の農村と水不足に悩む北京市が抱えている問題とがダイレクトに繋がっていることを、解り易く解説していただいた。有意義な講演会であったことは、当日のアンケート回答からも窺える。

当日の講演会参加者数:56名
  以下は、配布・回収したアンケートよりの抜粋です。

<参加学生(中国人留学生も含む)らの声>
・母国の環境悪化がこれほど進んでいることを知らなかった。
・しっかり、本学で知識を得て、卒業後、中国の環境改善に尽くしたい。
・中国内でこのような講演会を開催できたら、よいが・・・
・北京に深刻な水不足の現状を始めて知った。
・非常の良い講演が聴けて、大変勉強になった。
・福建省でも雨が降らない、大雨になるなど様々な問題が起きている。環境破壊の現状をどのように人々に伝えたらよいのか。
・活動に参加したい。
・中国人なのに、環境問題が深刻化する中国の現状を知らないことが多すぎて、恥ずかしい。

<一般の参加者の声>
・極めてショッキングである。
・中国の環境破壊は、日本の環境にも影響を及ぼす問題である。
・昔住んでいた大牟田市は、大同市と姉妹都市です。大牟田市内には大同の石炭を使っていた工場もあり、本日の話は、大変、興味深く聴講しました。中国の経済学者は、2015年には、米国と肩を並べると言っていますが・・・
・環境問題と人口問題は、環境省の図などで理解していたつもりだが、再度認識を深めた。
・文明と森林破壊の関係は、欧州、日本でも先例がり、その経験が活かされる必要がある。歴史に学べ!
・中国の都市と農村の格差の大きさを実感した。砂漠化の進行の凄ましさとそれに対するNPOの活動のけなげさ、16年間の重さを感じる。
・当を得た企画である。

など。(文責 中村)

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